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トレックから新型のe-Bike(電動アシスト)として、FX+が発表されました。本記事では、旧モデルや他社との比較を通じて、FX+に迫っていきます。

FX+ってどんなバイク?
FX+の特長は下記の3点です。
- 圧倒的な軽量化
- e-Bikeに見えないルックス
- 標準装備が充実

1. FX+は軽量なe-bike!その重量は?
FX+の重量はMサイズで17.69 kgと公表されています。トレックのクロスバイクの中で最も重いのがFX 1 Discの12.68kgでその差は約5kg。しかしFX+には、数多くの付属品が装備されています。これらの付属品の重さは2㎏前後と推察されるため、FX 1 Discとの差は実質3kg程度でしょう。
この軽量性を実現しているのが、日本初上陸となるアシストユニットブランドのHyena(ハイエナ)です。

FX+に搭載されているハイエナってどんなメーカー?
トレックのFX+のページでは、アシストユニットについてはほとんど触れられていない。良く見ると関連資料のセクションにハイエナユニットの説明書へのリンクがあり、辛うじてハイエナを採用していることが分かる。
トレックの他のe-Bike、例えばVerve+やAllant+ではボッシュのユニットを採用していることを積極的にアピールしている。
トレックがハイエナを積極的に紹介しない理由としては、ボッシュとの契約の大人の事情があるのか、はたまたハイエナを採用していることがネガティブに捉えられると考えているからだろうか?
ハイエナのウェブサイトでは、台湾の新興アシストユニットメーカーであることが分かった。軽量なアシストユニットを開発しており、今後はトレックの他のバイクや他のブランドのe-Bikeにも採用されることだろう。


2. FX+はe-Bikeに見えないルックス
ハイエナのアシストユニットのメリットは軽いだけではない。バッテリーは非常にコンパクトで、何とフレームのダウンチューブ(ハンドルから中央下部に向かう部分)の中に完全に内蔵されているのだ。
またモーターは後輪の中心部分に設置されているため、まったく目立たない。

3. FX+は付属品も充実
FX+には、前後ライト、キックスタンド、泥除け(フェンダー)、ラック、そしてチェーンガードが標準装備されている。これらのアイテムは街乗りや通勤には必須のアイテムばかりで、単品で買って揃えるとなかなか高くついてしまう。これらが標準装備であることはFX+のメリットの一つだ。

参考に、これらを単品で揃える場合の目安の金額は下記の通り。
前後ライト:10000円
キックスタンド:2000円
泥除け:5000円
ラック:5000円
チェーンガード:3000円
約25,000円程度、追加の出費がかかることとなる。他社モデルと比べるときは考慮すべきだろう。
また、前後のライトは本体のバッテリーから配線が繋がっており、給電をしてくれる。ライトの電力消費は非常に小さいため、ライトをつけているからといって航続距離が短くなる心配は皆無だ。電源を入れると自動で前後ライトが点灯するため、恐らく昼夜問わず付けっ放しで走ることを前提に設計しているのだろう。

ブレーキは前後ともに油圧ディスクブレーキとなっており、雨の日でも安心してブレーキングが可能だ。

FX+のバッテリーは外せる?
FX+のバッテリーはフレーム内に完全に埋め込まれており、取り外すことができません。これは不便なようですが、バッテリー着脱のためのパーツが不要なため、軽量化、低コスト化、そしてシンプルでスタイリッシュなルックスに寄与している。

FX+の充電方法は?
上述のようなバッテリーが取り外しできないため、通常の電動アシスト自転車のように、バッテリーを室内に持ち込んで充電ができません。FX+の充電は3つの方法があります。
- ガレージや玄関の電源から充電
- 室内に持ち込んで充電
- レンジエクステンダーを使用して充電
- 出先で充電
まずは「ガレージや玄関の電源から充電」。特に一軒家にお住まいであれば、これが最もやりやすいかもしれません。
室内に持ち込んで充電は、一軒家かマンションの1階にお住まいであれば可能でしょう。
しかし問題は、マンションの2階以上に住む人。おすすめはレンジエクステンダーを使用した充電方法です。レンジエクステンダーとは、内蔵バッテリーに追加して使えるバッテリーのこと。ボトルをつける部分に装着可能だ。この追加バッテリーについては簡単に持ち運びができるので、この部分だけを外して室内で充電すれば問題なしだ。
また理解が得られれば、職場の駐輪場などの電源を使わせてもらうことも検討してもいいだろう。
FX+のアシストモードは?
FX+は3段階のアシストモードを搭載している。

FX+は一回の充電で何キロ走れる?
FX+のメーカースペックの連続航続距離は67kmだ。しかしe-Bikeの連続航続距離は、勾配、停止頻度、ライダーや荷物の重量、そしてアシストモードで大きく変化するので、あくまで目安程度と理解しておこう。
FX+は他のメーカーとどう違う?
恐らく最もタイプが近いクロスバイクはスペシャライズドのTurbo Vado(ターボ・バド)だろう。

ここではVADOシリーズの中で最も価格帯が近い SL 4.0と比較してみよう。
モデル | Trek FX+2 | Specialized VADO SL 4.0 |
価格 | 324,500円 | 363,000円 |
カラー | ブラック、ネイビー、レッド | レッド |
スタッガーモデルの有無 | 有 | 無 |
モーターの場所 | 後輪ハブ | クランク(BB) |
バッテリー取外可否 | 不可 | 不可 |
付属品 | 前後ライト、フェンダー、キックスタンド、 チェーンガード、ラック | 前後ライト |
航続距離 | 67km | 130km |
車体重量 | 17.7kg | 15.4㎏ |
付属品がこれだけついてVadoよりも約4万円もお求めやすいFX+の方が相対的にコストパフォーマンスが高いように見える。車体重量に関しては付属品の有無が大きく影響しているので、それほど大きな違いはないだろう。気になるのは航続距離。バッテリー容量はそれほど変わらないはずなのに、Vadoの方が2倍近い距離を走ることができる。ただしこれも、アシストモードの設定などによって大きく変化する数値だ。あえてほとんどアシストが効かないモードを用意しておいてスペック上の航続距離を延ばすことは良くある。
FX+はどんな人におすすめ?
FX+のメリットを大きく受けるのは、通勤用のe-Bikeとしてだろう。フェンダーやチェーンガードはスーツや仕事着を汚れから守ってくれ、ラックに仕事の荷物を積むことができる。それらが美しく最初から標準パーツとして付属しているのは大きなメリットだ。

唯一のFX+の懸念点は充電方法。自転車の保管環境を良く確認し、スムーズに充電ができないのであれば、バッテリーが外せるタイプのe-Bikeを選ぶ方が良いだろう。
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